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2013年11月27日水曜日

大日本帝国憲法 現代語訳

           〈大日本帝国憲法 現代語訳〉
告文

 わたくし(明治天皇)は、皇祖皇宗(神武天皇および歴代天皇)の御神霊へ謹み畏まってお告げ申し上げます。
 わたくしは、永遠なる広大な計画に従い、御神霊の皇位を継承し、伝統文化を保持し、決して失墜することの内容に致します。
 (また、歴史を)かえりみて、世の中の進運(進歩・向上していく機運や傾向)、人倫の発達を皇祖皇宗の遺訓としてこれを明らかにいたします。
 皇室典範と憲法を制定しその条章を明示し、皇室では子孫がこれにより従うところとし、臣民には天皇を補佐する道を広めて永遠に憲法に従わせるようにして、益々大事業(国家統治)の基礎を強固にして臣民の幸福を増進いたします。
 そのためにここに皇室典範および憲法を制定するのであります。
 深くかえりみるに、これはみな皇祖皇宗が子孫に遺し給われた統治の模範に従うことに他なりません。そうして、朕自身の番となって時に及んで(統治を)とり行うことができるようになったことは本当に皇祖皇宗および我が先帝(孝明天皇)の威光に頼ってきたおかげでないわけがありません。
 わたくしは仰いで皇祖皇宗および先帝のお助けを祈願し、あわせて朕の現在および将来に臣民に率先してこの憲章を実行してこれを誤ることの無いようにすることをお誓いいたします。
 願わくば神々よ、私を(この誓いに照らし合わせて)見守って下さい。
憲法発布勅語  朕は、国家の隆盛と臣民の幸福とをもって喜ばしい光栄なことの中心とし、朕の祖宗(皇祖皇宗と同義)から受け継いだ大権によって、現在から将来にわたって臣民に対し、この不滅の大いなる法典を広く公布する。
 深く(歴史を)かえりみるに、朕の祖先(神武天皇)、歴代天皇は、わが臣民の祖先たちの協力・補佐により我が帝国を建国し、それを後世まで永遠にお与えになった。
 これは我が神聖なる祖宗の権威・徳力、ならびに臣民の忠実さ勇武さによって、国を愛し公に従い、この光輝ある日本史に足跡を残してきた。
 朕は、我が臣民が、すなわち祖宗の忠実・善良なる臣民の子孫であることを思いめぐらし、朕の意志に身を挺し、朕の事業をすすめ従い、心を一つに力を合わせて、ますます我が帝国の光栄を国の内外に広く知らしめ、祖宗の遺業を永久に強固にするという希望を同じくし、その任の分担に耐えられることを疑わないものである。
上諭  朕は、祖宗の功績を受けて万世一系の帝位をふみ、朕の親愛なる臣民はすなわち朕の祖宗が恵み、愛し、慈しみ、養ったところの臣民であることを思い、その幸福を増進し、その立派な徳と生まれながらの才能を発達させることを願い、またその補佐によって、ともに国家の進運を助けてくれることを望む。
 そこで明治十四年十月十二日の勅命を実践し、ここに大いなる憲法を制定して、朕に従ってくれることを示し、朕の子孫および臣民とまたその子孫によって永遠に命令に従い実行してくれることを知らしめる。
 国家を統治する大権は朕がこれを祖宗より受け継ぎ、また子孫へと伝えていくものである。朕および朕の子孫は将来、この憲法の条文に従って政治を行うことを誤ってはならない。
 朕は我が臣民の権利および財産の安全を貴び重んじ、またこれを保護し、この憲法および法律の範囲内においてその享有を完全に確かなものだとしてよいと宣言する。
 帝国議会は明治二十三年をもって召集され、議会開会の時をこの憲法が有効となる期日とする。
 将来、この憲法のある条文を改正する必要が出たときは、朕および朕の子孫はその改正を発議し、これを議会に提出して、議会はこの憲法に定められた要件にしたがってこれを議決するほか、朕の子孫および(そのときの)臣民は決してこれを掻き乱して変えようとすることがあってはならない。
 朕の朝廷に勤めている大臣は朕のためにこの憲法を施行する責任を有し、朕の現在および将来の臣民はこの憲法に対し永遠に従順の義務を負わなければならない。

御名御璽
 明治二十二年二月十一日

  内閣総理大臣 伯爵 黒田清隆
  枢密院議長 伯爵 伊藤博文
  外務大臣 伯爵 大隈重信
  海軍大臣 伯爵 西郷従道
  農商務大臣 伯爵 井上馨
  司法大臣 伯爵 山田顕義
  大蔵大臣兼内務大臣 伯爵 松方正義
  陸軍大臣 伯爵 大山巌
  文部大臣 子爵 森有礼
  逓信大臣 子爵 榎本武揚


第1章 天皇

第1条
大日本帝国は、万世一系の天皇が、これを統治する。

第2条
皇位は、皇室典範の定めるところにより、皇男子孫が、これを継承する。

第3条
天皇は、神聖であって、侵してはならない。

第4条
天皇は、国の元首であって、統治権を総攬し、この憲法の条規により、これを行う。

第5条
天皇は、帝国議会の協賛をもって、立法権を行使する。

第6条
天皇は、法律を裁可し、その公布及び執行を命じる。

第7条
天皇は、帝国議会を召集し、その開会、閉会、停会及び衆議院の解散を命じる。

第8条
1.天皇は、公共の安全を保持し又はその災厄を避ける為、緊急の必要により、帝国議会閉会の場合において、法律に代わる勅令を発する。
2.この勅令は、次の会期において、帝国議会に提出しなければならない。もし議会において承諾しない場合、政府は、将来に向かって、その効力を失うことを公布する。

第9条
天皇は、法律を執行するために又は公共の安寧秩序を保持し臣民の幸福を増進するために必要な命令を発し、又は、発せさせる。ただし、命令をもって法律を変更することはできない。

第10条
天皇は、行政各部の官制及び文武官の俸給を定め、並びに文武官を任免する。ただし、この憲法又は他の法律に特例を掲げるものは、各々その条項による。

第11条
天皇は、陸海軍を統帥する。

第12条
天皇は、陸海軍の編制及び常備兵額を定める。

第13条
天皇は、宣戦し、講和し、及び、諸般の条約を締結する。

第14条
1.天皇は、戒厳を宣告する。
2.戒厳の要件及び効力は、法律をもってこれを定める。

第15条
天皇は、爵位、勲章及びその他の栄典を授与する。

第16条
天皇は、大赦、特赦、減刑及び復権を命ずる。

第17条


  • 摂政を置くときは、皇室典範の定めるところによる。
  • 摂政は、天皇の名において、大権を行う。

  • 第2章 臣民権利義務

    第18条
    日本臣民であるための要件は、法律の定めるところによる。

    第19条
    日本臣民は、法律及び命令の定めるところの資格に応じ、均しく、文武官に任じられ、その他の公務に就くことができる。

    第20条
    日本臣民は、法律の定める所に従い、兵役の義務を有する。

    第21条
    日本臣民は、法律の定めるところに従い、納税の義務を有する。

    第22条
    日本臣民は、法律の範囲内において、居住及び移転の自由を有する。

    第23条
    日本臣民は、法律によるのでなければ、逮捕、監禁、審問、処罰を受けることはない。

    第24条
    日本臣民は、法律に定めた裁判官の裁判を受ける権利を奪われない。

    第25条
    日本臣民は、法律に定めた場合を除くほか、その承諾なくして住居に侵入され、及び捜索されることはない。

    第26条
    日本臣民は、法律に定める場合を除くほか、信書の秘密を侵されることはない。

    第27条
    ・日本臣民は、その所有権を侵されることはない。
    ・公益のために必要な処分は、法律の定めるところによる。

    第28条
    日本臣民は、安寧秩序を妨げず、かつ、臣民としての義務に背かない限りにおいて、信教の自由を有する。

    第29条
    日本臣民は、法律の範囲内において、言論、著作、印行、集会及び結社の自由を有する。

    第30条
    日本臣民は、相当の敬意と礼節を守り、別に定めるところの規定に従い、請願を行うことができる。

    第31条
    本章に掲げた条規は、戦時又は国家事変の場合において、天皇大権の施行を妨げるものではない。

    第32条
    本章に掲げる規定は、陸海軍の法令又は紀律に抵触しないものに限り、軍人に準用する。

    第3章 帝国議会

    第33条
    帝国議会は、貴族院と衆議院の両院をもって成立する。

    第34条
    貴族院は、貴族院令の定める所により、皇族、華族及び勅任された議員をもって、組織する。

    第35条
    衆議院は、選挙法の定めるところにより、公選された議員をもって、これを組織する。

    第36条
    何人も、同時に両議院の議員であることはできない。

    第37条
    すべて法律は、帝国議会の協賛を経ることを要する。

    第38条
    両議院は、政府の提出する法律案を議決し、及び各々において法律案を提出することができる。

    第39条
    両議院の一方において否決した法律案は、同会期中において再び提出することはできない。

    第40条
    両議院は、法律又はその他の事件について、各々その意見を政府に建議する事ができる。ただし、その採用を得なかったものは、同会期中に再び建議することはできない。

    第41条
    帝国議会は、毎年これを召集する。

    第42条
    帝国議会は三箇月をもって会期とする。必要がある場合においては、勅命をもってこれを延長することができる。

    第43条
    1.臨時緊急の必要がある場合においては、常会のほかに臨時会を召集しなければならない。
    2.臨時会の会期を定めるのは、勅命による。

    第44条
    1.帝国議会の開会、閉会、会期の延長、及び停会は、両院が同時にこれを行わなければならない。
    2.衆議院の解散を命じられたときは、貴族院は同時に停会しなければならない。

    第45条
    衆議院の解散を命じられたときは、勅命をもって新たに議員を選挙させ、解散の日から五箇月以内に、これを召集しなければならない。

    第46条
    両議院は各々その総議員の三分の一以上が出席するのでなければ、議事を開き議決をすることができない。

    第47条
    両議院の議事は、過半数を以て決する。可否同数のときは、議長の決するところによる。

    第48条
    両議院の会議は公開する。ただし、政府の要求又はその議院の決議により秘密会とすることができる。

    第49条
    両議院は、各々、天皇に上奏することができる。

    第50条
    両議院は、臣民より呈出する請願書を受けることができる。

    第51条
    両議院は、この憲法及び議院法に掲げるもののほか、内部の整理に必要な諸規則を定めることができる。

    第52条
    両議院の議員は、議院において発言した意見及び表決につき、院外において責任を問われることはない。ただし、議員自らがその言論を演説、刊行、筆記又はその他の方法をもって公布したときは、一般の法律により処分されるものとする。

    第53条
    両議院の議員は、現行犯罪又は内乱外患に関する罪を除くほか、会期中その議院の許諾なくして逮捕されることはない。

    第54条
    国務大臣及び政府委員は、いつでも各議院に出席し、及び発言することができる。

    第4章 国務大臣及枢密顧問

    第55条
    国務各大臣は、天皇を輔弼し、その責任を負う。

    第56条
    枢密顧問は、枢密院官制の定めるところにより、天皇の諮詢に応え、重要な国務を審議する。

    第5章 司法

    第57条
    司法権は、天皇の名において、法律の定めるところにより、裁判所が、これを行う。

    第58条
    1.裁判官は法律で定めた資格を備える者を任命する。
    2.裁判官は刑法の宣告、又は懲戒処分による場合以外は、その職を罷免される事はない。
    3.懲戒の条規は法律で定められる。
    第59条
    裁判の対審・判決はこれを公開する。但し、安寧と秩序及び風俗を害する恐れがある時は、法律により又は裁判所の決議により、対審の公開を停止する事が出来る。

    第60条
    特別裁判所の管轄に属すべきものは、別に法律をもって、これを定める。

    第61条
    行政官庁の違法な処分により権利を侵害されたとする訴訟であって、別に法律をもって定める行政裁判所の裁判に属すべきものは、司法裁判所において受理する限りでない。

    第6章 会計

    第62条
    1.新たに租税を課し、及び税率を変更するには、法律で定めなければならない。
    2.ただし、報償に属する行政上の手数料及びその他の収納金は、前項の限りではない。
    3.国債を起債し、及び予算に定めたものを除くほかの国庫の負担となる契約を結ぶ時は、帝国議会の協賛を経なければならない。
    第63条
    現行の租税は、更に法律をもって改めない限りは、旧の法律によって租税を徴収する。

    第64条
    ・国家の歳出歳入は、毎年、予算をもって、帝国議会の協賛を経なければならない。
    ・予算の項目を超過し、または予算の他に生じた支出があるときは、事後に帝国議会の承認を求めなければならない。

    第65条
    予算は、先に衆議院に提出しなければならない。

    第66条
    皇室経費は現在の定額を毎年国庫より支出し、将来に増額を必要とした場合以外は、帝国議会の協賛を必要としない。
    第67条
    憲法上の大権に基づく規定の歳出、及び法律の結果により、又は法律上政府の義務に属する歳出は、政府の同意がなければ帝国議会がこれを排除または削減する事は出来ない。
    第68条
    特別な必要に迫られたとき、政府は予め年限を定めて、継続費として帝国議会の協賛を求めることが出来る。
    第69条
    避ける事の出来ない予算の不足を補うため、又は予算外に生じた必要な費用に当てるために、予備費を設けなければならない。

    第70条
    公共の安全を保持するため緊急の必要がある場合において、内外の情況により政府は帝国議会を招集することが出来ないとき、勅令により、財政上必要の処分をすることができる。
    前項の場合においては、次の会期において、帝国議会に提出し、その承諾を求めることを要する。

    第71条
    帝国議会において、予算が議決されず、又は予算が成立しない時は、政府は前年度の予算を施行しなければならない。
    第72条
    1.国家の歳出入の決算は、会計検査院が検査、確定し、政府はその検査報告とともにその決算を帝国議会に提出する。
    2.会計検査院の組織と職権は法律によって定める。

    第7章 補則

    第73条
    ・将来、この憲法の条項を改正する必要があるときは、勅命をもって、議案を帝国議会の議に付さなければならない。
    ・この場合において、両議院は、各々その総員の三分の二以上が出席しなければ、議事を開くことができない。出席議員の三分の二以上の多数を賛成がなければ、改正の議決をすることができない。

    第74条
    1.皇室典範の改正は、帝国議会の議決を経る必要はない。
    2.皇室典範をもって憲法の条文を変更することはできない。

    第75条
    憲法及び皇室典範は摂政を置いている間、これを変更することはできない。

    第76条


  • 法律、規則、命令又は何らの名称を用いているにかかわらず、この憲法に矛盾しない現行の法令は、すべて遵守すべき効力を有する。
  • 歳出上政府の義務に係る現在の契約又は命令は、すべて第六十七条の例による。














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